架空のアーケード・シューティングゲーム「ムーンショット」と、そのワンポイント攻略

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ドリームキャスト互換アーケード基盤「NAOMI」で2021年10月にリリースされない横スクロール型シューティングゲーム「ムーンショット」。今回はこのマイナーなゲームのストーリーを紹介し、そのワンポイント攻略についても行っていきます。

ストーリー

安心安全帝国」 ― 生きる苦しみと不安、虚無を根絶し、安心と安全だけが満ち、全員が活躍できる社会を約束するカルト国家。もともとは極東の小国だったが、自我をもつ国家制御AIムーンショット」が2050年に完成するとすぐに、各地へ宣戦布告。あっという間に制圧し、世界中へ勢力を伸ばした。

内部では時間の止まった理想の社会≪ユートピア≫が実現されていると喧伝されているが、実態は不明。
かろうじて残る国境線付近では今でも大小さまざまな「テロリスト集団」との戦闘が続いている。

そのうちの1つに、「一切皆苦」があった。AIの力を”活用”しても活躍できないとされ「お祈り」された人間、ネガティブであるとされた思考の持ち主、不安や虚無の存在を肯定しようとする元哲学者・思想家などが集まった混沌とした集団だ。

人工知能に対抗しうる最終兵器「天然無能」を開発することに成功した「一切皆苦」は、崩壊しつつある集団の最後の力を振り絞り、「安心安全帝国」への、最後の国家解体作戦を開始する。

一切快苦」の保有する最後の戦闘機、「無明」に、帰還のための燃料の代わりに「天然無能」を積みこむ。最後の挨拶を済ませたパイロットは、明るいLEDライトのきらめく「安心安全帝国」へ退路を捨て飛び立っていく。

 

敵は≪幸福≫。

生きとし生けるものに生きる苦しみを取り戻すための「正義」の戦いが、いま始まる。

ワンポイント攻略

8方向レバー、3ボタン。全5面+真の最終ステージ1面。一周エンド。

パターン要素の強いステージと、ランダム要素の強いステージが極端に分かれています。パターン要素の強いステージで自分なりの攻略パターンを早めに構築し、ランダム要素のために気力を温存しておくのが、基本的な攻略戦略となるでしょう。

真エンド条件は「5面終了時点までノーミス」と、かなり厳しめの設定です。真エンドを見たい場合、敵をなるべくすべて撃破して、いわゆる「スペシャルアタック」のゲージをこまめに貯め、少しでも厳しいと感じたら、すぐにスペシャルアタックを発動し、付随する無敵の効果で切り抜けましょう。

 

次からは、各ステージの簡単な紹介と攻略になります。

Stage 01 「テンシ」

これが、テンシ?人喰いの、間違いじゃないのか。

回収されたフライトレコーダーから

最初のステージ、「テンシ」。このステージでは「安心安全帝国」の国民である「テンシ」が無数に襲い掛かってくる。最初のステージであることや、全員とも優しそうな笑顔を浮かべていることに油断していると、すぐに「テンシ」たちの放つ高密度弾幕に制圧されてしまう。主人公の言葉どおり、「全員を殺す」という強い気概で挑んでいこう。

Stage 02 「ナカマ」

こちら無明、…
敵も無明だ…。

回収されたフライトレコーダーから

次のステージは「ナカマ」。前回プレイしたプレイヤーが鹵獲され、「テンシ」として”生まれ変わった”という設定で襲い掛かってくる。「ナカマ」であった「テンシ」の攻撃パターンは前回のプレイヤーの動きから学習・模倣されたものになるため、ゲームセンターで待っている間も前のプレイヤーのプレイは肩越しによく観察しておこう。

Stage 03 「コウノトリ」

誰でも作れるということは、
誰にも作れなかったということなのだな。

回収されたフライトレコーダーから

第三ステージ、「コウノトリ」。国家制御AI「ムーンショット」が、「望めば誰でも安心して子供を産み育てられる社会」という人間の願いにこたえるために作った、「テンシ」の製造工場だ。「テンシ」は完成するとすぐに高速弾を放ってくるので、完成する前にテンポよく破壊していこう。登場する順番は死んで覚えるしかない。

Stage 04 「デンシン」

一人と戦っているのか、
全員と戦っているのか、

わからない。

回収されたフライトレコーダーから

第四ステージ、「デンシン」。ここの「テンシ」は全員テレパシーを使って以心伝心している。一度倒した方法は次の「テンシ」には効かない。全ての「テンシ」を破壊できるよう、倒し方のバリエーションを事前に準備しておこう。

Stage 05 「ムーンショット」

頼む、持ちこたえてくれ。

回収されたフライトレコーダーから

最終ステージ、「ムーンショット」。名前通り、「安心安全帝国」の中枢にある国家制御用AI「ムーンショット」を破壊するのがミッションだ。気象をもコントロールする人工知能が、津波、地震、土砂崩れ、台風、ハリケーンなど自然災害すら用いてステージの地形を変形させていく。弾避けに使っているオブジェクトはすぐに破壊されてしまうから注意しよう。

Stage -1 「シアワセ」

脳が痛い。胸が痛い。視界もはっきりしない。意識が朦朧とする。
俺は、一体今まで何と戦ってきたのだ。

だが、まだ生きているというのだけは分かる。
まだ戦わねばならない事もはっきりしている。

回収されたフライトレコーダーから

そして条件を満たしたときにあらわれる真・最終ステージ、「シアワセ」。

人工知能」である「ムーンショット」に対抗する「天然無能」。その正体は「生老病死」であった。 この「生老病死」 を起動し、ブートが完了するまで、守り抜くのがミッションだ。残機がいくらあったとしても、死んだ瞬間に守りがほころび、ほぼ間違いなくゲームオーバーになってしまう。このステージではコンティニューもできないので、「人生は一度しかない」と念じながら最後までやりきろう。

参考資料

アナザーエンド

ラストステージは、頭のアンパンから餡が飛び散りきるまでに「安心安全帝国」の管理AI「ムーンショット」を破壊するミッションとなっている。ここだけはコンティニューできず、残基も自動的に0になるので、気合を入れて攻略しよう。たとえ、胸の傷が痛んでも。

https://sabbat.hexe.net/notice/ABuOy9yYFwEfd7EkrI

俺もココアだ―「ご注文はうさぎですか?? Wonderful party!」

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今日一週クリアしたんですが、エンディングの日はちょうどクリスマスの朝だったので、スケッチするように感想をさっと書き留めておきたいと思います。

ネット上ではこの画像で(一部で)有名なゲームです:

ですが、このゲームは実はココアさん「だけになる」わけではないです。いわゆる「個別ルート」に入って以降は、あなたはチノちゃん、リゼちゃん、千夜ちゃん、シャロちゃんのそれぞれに「なります」。いいか、なるんだよ

原作と同様、物語に大きな起伏があるわけではありません。異世界チートもないし生死を分ける戦いもないです。

前半では、あなたはココアさんとなってチノちゃんの誕生日を最高のものにすべくバイトとチラシ配りを一生懸命がんばって誕生日パーティを開き、
後半では、(チノちゃんルートでは)あなたはチノちゃんとなって、誕生日のお返しとして、たのしいクリスマスパーティを開くべく、人付き合いの苦手な彼女なりに奔走する。

それだけです。あえて悪く言うと、淡々としてます。人によっては退屈だと思うかもしれないくらい。

ですが、それでいい。

「グッドエンド」と呼ばれているものも、いわゆる普通の美少女ゲームと比べたらなんてことないです。「日常のささやかな一コマ」の範疇に収まってしまうかもしれません。でもそれでいいんです。なんでそれでいいのかわかりませんが、それでいい。

物語は、ココアさんがチノちゃんの誕生日(12月4日)が数週間後に近づいていることを知るところから始まります。

そしてココアお姉ちゃんは決心します。今年のチノちゃんの誕生日を、最高のものにしよう、と。

そのために、バイトを頑張って、あとコスプレしてチラシ配りをして、ラビットハウスの知名度をあげて喜んでもらおう、と。

…かなり発想が飛躍しています(たぶんシステムが決まってからシナリオが逆算されたんだと思う)。が、物語の中で「あれ?なんでチラシ配りしてたんだっけ??」ってココアさんも忘れる描写があるのでOKです。これを書いてて、わたしもなんでチノちゃんの誕生日のためにチラシ配りしてたのか忘れました。俺もココアだ

バイトのパートは正直難しいです。たくさんのオーダーにワーキングメモリが押しつぶされそうになります。でも、それもチノちゃんの誕生日を最高のものにするためです。バイトがうまくいってラビットハウスの知名度が上がるとなぜかうれしいのです。

チノちゃんの誕生日までに特定のキャラクターとの親密度をあげるか、ラビットハウスの知名度を最大にあげないと、(チノちゃんは喜んではくれるのですが)そこで物語は終わります。ここで「もっとチノちゃんに喜んでもらえる、最高の誕生日にできたはずなのに」という、悔しさにも似た感情が発生します。チノちゃんにモテなくて悔しいんじゃない、チノちゃんの誕生日を最高のものにしてあげられなかったことが悔しいんだ。これでは俺はお姉ちゃん失格だ。

チノちゃんの誕生日を最高のものにすることができたら、そのお返しとしてのクリスマスパーティを準備する、第二の物語が続きます。
この時は、(チノちゃんルートの時は)わたしはチノちゃんになります。

システム自体はいわゆる普通のギャルゲーで、三択したときに正解だと「友情度」が上がってエンディングが分かれるやつです。

でもそんなのはどうでもいい。チノちゃんになれば、自ずと選ぶべき選択肢はわかります。少なくともそんな気持ちになります。ほんとです。

あんなに素敵な誕生日を用意してくれたココアさんにお返しがしたい。でもわたしは、みんなでわいわいするパーティなんて開いたことないし、そもそもクリスマスといえばもっと慎ましく過ごすものだと思ってた。でも、そんなクリスマスじゃ、きっとみんな退屈しちゃう…どうしよう…。

チノちゃんは人に頼るのが苦手です。ですから、相談するのもいちいち憚ってしまう。ココアさんは相談してねと重ね重ね言ってくれるけれど、ココアさんにお返ししたいのだから、ココアさんには頼れません。最終手段です。

ラビットハウスはクリスマスももちろん営業があります。だから、一日貸し切って、なんてこともできません。仕事の後にパーティを開くしかない。そこがまたリアルなんです。

そんな彼女が出した「クリスマスパーティ」の答えは何か?これはもちろん遊んで確かめてほしいのですが、ココアさんのようなみんなを巻き込んだ盛大なものでは決してない、彼女なりのささやかな、でも一生懸命な素敵な答えです。


パジャマパーティーたのしそう

前半パートでは、毎週末集まってパジャマパーティがあります。これがまた楽しい。

そしてわいわい遊んだ後は、ココアさんとほかの誰かで一緒の布団で寝ます。添い寝しながら楽しく喋って寝る、それだけです。エロゲーは理解できなかったわたしでも、これなら理解できる。「ココアさんになれ」ました。楽しい。

「2人で一緒に寝たら残りの3人はどうしてるんだろう」と思わないではないが、そこは…きっと描かれてない3人の物語があるに違いない。


俯瞰してみると、「モバ美ちゃんPV」と同じく、「美少女 ⇔ 消費するオタク」みたいな構図を極力避けるようなシナリオとシステムになっています。ココアさん「だけ」になるんではなく、後半はほかのキャラクターにもなるので、一切片方向の視点で終わることがありません。ココアさんだけの視点でゲームが最初から最後まで完結していたら、きっとココアさんが実質的に「モテる主人公」になってしまっていたかもしれません。でも、このゲームでは、後半ではココアさんのために奔走することになります。ここがいやな感じが一切しない。

クリスマスはNoiz2saをAndroidで!

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おひさしぶりです。21日のニコニコ学会βは良かったですね。特に良かったのは研究100連発で、本職の人のすごさを見ると、私も何かつくりたいな〜って気分になります。私はボランティア(登壇者へのカンペ出し)として参加しました。凄い人を間近に見れるという特典付き(?)の嬉しいけど責任重大なお仕事です。イベント運営って大変ですね…。あと野糞の人は本気でマッドだ(褒め言葉)。

Noiz2saをAndroidに移植してみた!

Noiz2saはABA Gamesさんの開発した、アブストラクトな感じのシューティングゲームです。私はこのゲームがSTGに入り始めたきっかけだけあって、大好きです。

去年はWebに移植したNoiz2saを公開しましたが、今年はAndroidに移植したものを公開します。

クリスマス、そして年末年始といえばシューティングゲーム!ぜひお楽しみ下さい。敵の弾を避けて撃つ、指一本で遊べるシンプルなゲームです。

USBのゲームパッドをつなぐと、PC版と同様な操作で遊ぶことも可能です。

ダウンロードはこちらから

バッドノウハウFAQ

移植時のバッドノウハウを書きます

Q.リソースのファイルの拡張子がamrとかなのはなぜですか

このように置かないと、リソースが圧縮される時に圧縮されてしまい、AssetManagerからランダムリードすることが出来なくなってしまうからです。

あっコーナー分けた割に一個しか思い浮かばなかった…質問は随時受け付けています。

クリスマスはNoiz2saをChromeで遊ぼう!

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Native Clientは死んだんだ
いくら呼んでも帰っては来ないんだ
もうあの時間は終わって、君も人生と向き合う時なんだ


弾幕の海にたゆたう、アブストラクトシューティングNoiz2sa。

ChromeにNoize2saを移植してみた

Google ChromeにNoiz2saを以前移植して公開してあったのですが、こちらでは書きそびれてたので、クリスマスというタイミングに書くことにします。

ABA GamesのSTG “Noiz2sa”をブラウザで遊べるようにしてみました。

20121224

Chrome ウェブストア – noiz2sa

 ChromeのNative Clientという仕組みを使っていて、これを使うと比較的簡単にネイティブのゲームをブラウザ上で動かすことが出来るようになります!

GamepadのAPIがうまく動かないので残念ながらゲームパッドでは動く動かないのですが、キーボードでならガリガリ動くのでJoyToKeyでも使ってやってみてください!…だったら普通にWindows版で遊ぶ?そ、そうですよね…。

特に何もしてないけどクロスプラットフォーム

NativeClientは、何もしなくてもクロスプラットフォームに対応していて、今回の拡張もLinux/Windows/MaxOSXで動きます。ちょうべんりー。ちなみに開発自体はLinuxでやってます。

NativeClientのしんどいところ

NativeClientはセキュリティ上の要請から、色々制限があります。普通に計算をさせる分には困らないですし、グラフィックやサウンドの出力も、NaCl Portsがあるお陰で普通に使う分には困りませんが、ファイルアクセスやネットへの接続などでは独自のライブラリを使わなければなりません。

今回ゲームということでネットワークは使っていないのですが、タイトルの「noiz2sa」のロゴ画像(ビットマップ)や弾幕の定義データ(XML)、BGMや効果音のファイルなど、比較的数は少ないもののファイルアクセスがあり、これに対処する必要がありました。

ファイルはすべてゲームバイナリ内に

Native ClientにはURLLoaderというクラスがあるので、これを使えば任意のURLの内容を取得できます。これをローカルファイルの代わりに使えば良さそうです…が、今回はゲームなのでローディングを避けたいのと、大した容量でもない(8MBくらい)なので、全部バイナリ内に入れてしまうことにしました。

具体的にいうと…

struct FileEntry{
const char* filename;
const size_t size;
const char* data;
};
extern const struct FileEntry gFileImages[];
extern const size_t gNumberOfFileImages;

Noiz2saNaCl/nacl/file_data.h at master ・ ledyba/Noiz2saNaCl ・ GitHub

というような構造体をつくって、

static const char ImageData[8810309] = [具体的なデータ>];
const size_t gNumberOfFileImages=96;
const struct FileEntry gFileImages[96] = {
{
.filename="boss/forward_3way.xml",
.size=818,
.data=&ImageData[0],
},
(ファイルのエントリをたくさん)
};

Noiz2saNaCl/nacl/file_data.c at master ・ ledyba/Noiz2saNaCl ・ GitHub

として全データを格納します。

これを読み書きするためのfopen、fread、fcloseなどの関数を独自に定義して

extern size_t nacl_ftell (FILE *file);
extern int nacl_fseek (FILE *file, size_t offset, int whence);
extern FILE *nacl_fopen (const char *filename, const char *modes);
extern size_t nacl_fread(void *ptr, size_t size, size_t nmemb, FILE *stream);
extern size_t nacl_fwrite(const void *ptr, size_t size, size_t nmemb, FILE *stream);
extern int nacl_fclose(FILE *fp);
extern int nacl_feof(FILE *stream);
extern int nacl_ferror(FILE *stream);
extern void nacl_rewind(FILE *stream);
extern int nacl_fgetc(FILE *stream);
extern int nacl_fflush(FILE *stream);

最後にマクロで普通のfopenを乗っ取ります

#define fopen(n,m)  nacl_fopen(n,m)
#define fclose(f) nacl_fclose(f)
#define ftell(f) nacl_ftell(f)
#define fseek(f,o,w) nacl_fseek(f,o,w)
#define fread(p,s,n,f) nacl_fread(p,s,n,f)
#define fwrite(p,s,n,f) nacl_fwrite(p,s,n,f)
#define feof(f) nacl_feof(f)
#define ferror(f) nacl_ferror(f)
#define rewind(f) nacl_rewind(f)
#define getc(f) nacl_fgetc(f)
#define fgetc(f) nacl_fgetc(f)
#define clearerr(f) nacl_clearerr(f)
#define fileno(f) -1
#define fflush(f) nacl_fflush(f)

Noiz2saNaCl/nacl/storage.h at master ・ ledyba/Noiz2saNaCl

ソースコードを改変できるので別に乗っ取る必要はないのですが、NativeClientの元の記事がそういう感じで乗っ取ってたのでそうしときました。

ディレクトリ内のファイルを列挙するAPIであるreaddirなどもおんなじ感じで乗っ取っております。

この方法はGoogle先生謹製の記事を参考にしていて、ソースも一部拝借してます。Case Study: Porting MAME to Native Client – Native Client — Google Developers

さてどうしたものか

NativeClient、ファイルが絡むと一気にめんどくさくなります。既存の技術(Flashとか)を置き換えるには少し不便ですね。

JSでファミコンエミュレータ書いてみた:CycloaJS

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タイトルのまんまです

去年書いて駒場祭で作り方に関する本も出したCycloa」というファミコンエミュレータを、今回JavaScriptに移植してみました。

20120822_01.png

ご好意により、 Denis GrachevさんがZXスペクトラム向けに開発し、ShiruさんとKulorさんがファミコンに移植したAlter Egoというアクションパズルゲームを一緒に配布させていただいています(これはオープンライセンスではありません)。

20120822_02.png

バイナリィランドのように対称性をテーマにしたゲームで、とっても面白いので皆さんやってみてください〜!

JavaScriptのエミュレータはJavaScript NES エミュレータや、jsnesなどが既にありますが、前者は軽量なもののスプライトの再現で一部端折っているところがあり、また後者は通常のPC用エミュレータと同レベルの正確なエミュレーションを行なっているものの、非常に重くミドルレンジクラスのPCでは60FPSのリアルタイムが出ないという問題がありました。

今回のエミュレータでは、通常のPC向けのエミュレーション精度を保ちつつ、どこまで高速化できるのか検証するのを主目的としました。

どれくらい高速化できたのかを確かめてみようというわけで、既存のエミュレータとのベンチマーク取って見ました。動作環境は次の通り。

  • Core2Duo E8400
  • DDR2-800 4GB
  • GeForce 9600GT
  • Fedora 17 x86_64
  • Chrome 21

C++版のオリジナルCycloaと、今回のCycloaJS、JavaScript NES エミュレータとjsnesについて、Google ChromeでFPSリミットを外してどれぐらいの速度が出るのかを調べます。AlterEgoの起動画面でのFPSを比較してみました。

20120822_03.png

  • jsnes: 58.8fps
  • CycloaJS: 169fps
  • Cycloa: 691fps
  • JavaScript NES Emulator: 194fps

jsnesはそもそもこのPCだとリアルタイムで描画できません。JavaScript NES Emulatorより遅いですが、このエミュレータよりスプライトの再現性が高いので、まあ良いのかなと…。流石にC++ネイティブの元のエミュレータには全然勝てません。それでも3〜4倍にまで縮まってるのは、流石Chromeと言ったところでしょうか…

ソースコード

ソースコードはgithubで公開中ですC++版も同様に公開中

具体的な手法に関しては

また後日ということで…とりあえず、もうJavaScriptはあんまり書きたくないですね…。HTML5こわい。。。

GENETOSのBGMを差し替えられるパッチ作ってみた

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 以前、フリーのSTGゲーム“GENETOS”の音楽を復号化する“Oreshiki Decrypter”を公開する時に書いた、GENETOSのBGMを差し替えるための改造パッチを公開する…と言いながら忘れていましたが、最近ソースコードのフォルダを眺めていたら発見されたので配布します。

ダウンロード

 け、結構前…。

使い方

 ダウンロードして出てくる「_patch_genetos.EXE」を実行するとパッチが適用されます。

 次に、BGMのファイルを次のように書き換えてください。

  • 最終面の「origin.mp3.ore」と「answer.mp3.ore」、エンディングの「rebirth.mp3.ore」はそのまま置き換えられます。“Oreshiki Decrypter”で差し替えたいmp3を暗号化し、そのまま置き換えてください。
  • それ以外は拡張子が変わった上で、拡張子以外のファイル名が4文字減ります。こんな感じ:
    • 「little_invader.mid.ore」を差し替えたい場合は「little_inv.mp3.ore」という名前のファイルを用意してください。
    • Oreshiki Decrypterを利用して差し替えたいmp3を暗号化した後、上記のようなファイル名に変更してBGMフォルダにコピーしてください。
  • 自機が進化した後のBGMに関して、最初の数秒間が再生されません†1。予め自分で数秒間分のブランクを挿入しておく必要があります、

パッチについて簡単な解説。

 内部では音楽を再生する関数はmidiを再生するものとMP3を再生する関数に別れています。どちらもファイル名と追加のいくつかの引数を取るもので、これを利用して、midiを再生する関数を書き換えてmp3を再生する関数にバイパスしています。

 ただしひとつ問題があって、midiを再生する関数は、ステージ開始時に一気にmidiをロードしてしかるタイミングで再生するBGMを変更する、という事ができるのですが、mp3の関数ではそれはできませんでした。この問題を解決すべくいろいろ試行錯誤した結果、自機が進化する瞬間の処理をフックしてMP3再生関数を呼んでBGMを切り替えています。

パッチ適用時の注意。

 メニューから普通にゲームを開始する時以外の動作に関してはうまく動かないと思われます。フリープレイでちゃんと動く事とかは考えてません。

  • †1: 原因はよくわかりません

ミリ秒単位のタイマーと整数だけを使って60FPS固定にするには

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 考えてみれば当たり前な方法ですが、ぐぐっても見つからなかったので…。

 世の中に存在する大体のライブラリでは、時間をミリ秒単位で計測することができます。一秒間は1000ミリ秒です。

 また、世の中、特にこの日本に存在するゲームは、大体60FPSで動いています。一秒間に60回画面上の絵が更新されるということです。

 1/60秒は、16.666666666666667秒。1ミリ秒が精度のタイマーでは、正確に測定することはできません。でもゲームスピードを60FPSにしたいなら、なんとか測定しなければなりません。

 そこで、多くのゲームではいろいろな方法でこの問題を解決してきました。

方法1:1/60秒≒16ミリ秒と近似する。

 いろいろと諦めてるのがこの方法です。この方法だと、1000ミリ秒/16ミリ秒=62.5となるので、60FPSより少し早くなってしまいますが、目をつぶります。

 ソースコードはこんな感じ

void gameloop()
{
	uint32_t nextFrame = getNow()+16;//ミリ秒のタイマー関数
	while(ゲームが終わるまで){
		move();//ゲーム内でのキャラクタの移動処理など
		uint32_t now = getNow();
		if(now < nextFrame){
			draw();//描画処理
			now = getNow();
			if(now < nextFrame){ //描画しても時間が余ってたら・・・
				sleep(nextFrame-now);//ミリ秒精度で処理を中断する関数
			}
		}
		nextFrame+=16;
	}
}

方法2:浮動小数点を使う

 sleepも、現在の時間を取得する関数もミリ秒の精度しかありませんが、それらを管理する変数だけは浮動小数点を使う方法です。この方法を使うと、実際には16ミリ秒のフレームと17ミリ秒のフレームが、1:2の割合で現れます。

 ソースコードを見ていただけたほうが早いでしょう。

const float frameInterval = 1000.0f/60; //60FPSの基準時間

void gameloop()
{
	//floatでの管理に変えた
	float nextFrame = getNow()+frameInterval;
	while(ゲームが終わるまで){
		move();//ゲーム内でのキャラクタの移動処理など
		uint32_t now = getNow();
		if(now < nextFrame){
			draw();//描画処理
			now = getNow();
			if(now < nextFrame){ //描画しても時間が余ってたら・・・
				//型変換が必要。。。
				sleep(static_cast<uint32_t>(nextFrame-now));
			}
		}
		nextFrame+=frameInterval;
	}
}

 この方法ではかなり正確に60FPSを達成できますが、「計算の遅いfloat+型変換まで必要、よって遅そう」、「浮動小数点の精度は直感的に分かりづらい」(からなんか気持ち悪い)という精神衛生上の問題が発生します。

 実際には一秒間に60回しか行わないので、パフォーマンス上の問題は無いでしょうし、そもそもミリ秒精度しか測れない以上キッチリ60FPSを測ることも不可能なので、floatの誤差を気にする必要は無いと思いますけど。でもなんか気持ち悪いんです…(ぇ

方法3:vsyncに任せる

 DirectXやらOpenGLやらのゲームライブラリは、システムがモニタに画面を描画するタイミングまで待ってくれたりします。これを垂直同期(vsync)を取るといい、この方法を使うとシステムが画面をディスプレイに描画している最中にゲーム画面を更新する事がなくなるので、画面がガクついたりしなくなります。

 この方法は自分で時間を測る必要もないし†1、画面も綺麗になるしでいいこと尽くめなのですが、ひとつだけ問題があります。「すべてのモニタが60FPSとは限らない」、という点です。75FPSの画面もあれば、50FPSの画面もあります。垂直同期を取るとこういった場合にゲームが早くなったり遅くなったりしてしまいます。。

 また、必ずしもvsyncがサポートされているとは限りません。グラフィックカードの設定でvsyncを無効にすることもできます(OpenGLの場合。DirectXは存じません)。

今回の方法:浮動小数点でなく分数で計算する

 長々と書いてきましたが、やっと今回の本題に入れます。vsyncが一番良いのはそのとおりなのですが、諸々の事情で使えないこともあるとわかりました。ということはやっぱりタイマを用いて制御しなければならないこともあるわけです。。。

 方法2のfloatを用いる方法を継承しつつ、精神衛生上よろしくないfloatを取り除きます。一秒間に1000回回るカウンタを使って一秒間に60回を測る方法…。そう、最小公倍数の6000を基準にして、分数で測ってしまいましょう†2

void gameloop()
{
	//(1/60秒 = 100/6000秒)
	uint32_t nextFrame = getNow()*6 + 100;
	while(ゲームが終わるまで){
		move();//ゲーム内でのキャラクタの移動処理など
		uint32_t now = getNow() * 6;
		if(now < nextFrame){
			draw();//描画処理
			now = getNow() * 6;
			if(now < nextFrame){ //描画しても時間が余ってたら・・・
				sleep((nextFrame-now)/6);
			}
		}
		nextFrame+=100;
	}
}

 問題はタイマーの限界が6倍早く来てしまう点でしょうか…。SDLのSDL_GetTicksなどの32ビット整数を返すタイマでは49日間で0に戻ってしまいますが、6倍するのでだいたい8日でオーバーフローしてしまいます。

応用

 抽象化すると「”一定期間内にn回まわるカウンタ”で”一定期間内にm回まわるカウンタ”をつくる方法」ですので、フレームレート以外でも活用していただけます。

 そもそも今回の内容は、現在開発中のファミコンエミュレータで、サウンドとCPUを同期する方法を考えていて思いつきました。とはいえその内容をそのまま書いても汎用性が低いので、フレームレートに置き換えて記述しています。

  • †1: フレームスキップするなら別です
  • †2: 書いていて中学受験を思い出しました…。

GENETOSの音楽を聞こう!-“Oreshiki Decrypter”

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 なんか最近プログラミング・STGネタを投稿しなさすぎなので、たまにはそっち方面を投稿するテストw

 進化するシューティングゲーム”GENETOS”が最近一番の個人的ヒット作です!ゲームシステムがゲーム進行にあわせ進化してくという発想の斬新さ、STGの歴史をうまくまとめ上げた構成力、ドラマチックな演出、遊びやすい難易度…。そしてBGMです!特に最終面のBGMはステージ演出と相まって最高です!

 今回、そのGENETOSのBGMや画像ファイルに掛けられてる暗号を解除するツールを作成しました。ソースつき。

 また、このツールを利用することで、BGMを暗号化することもできます。BGMの差し替えも可能です!(※制限あり、後述)

ダウンロード

 ライセンスはGPL3です。(アーカイブ内のLICENSE.TXTを参照)

使い方

 GENETOSの、bgmフォルダ内の”○○○.mp3.ore”ファイル、または”○○○.mid.ore”を”oreshiki.exe”にドラッグアンドドロップすると同じフォルダに復号化されたファイルがでてきます。同様に、img内の.oreファイルも復号化できます。

20110123_01.png

 なお、soundフォルダ内に入っている効果音ファイルは実は暗号化されてないので、.wav.oreを.wavに変更するだけで再生することができます。

解説

 ファイルの先頭128バイトを、”oreshikioreshikioreshiki…..”という”oreshiki”がぐるぐると連続する文字列とxorを取っただけです。つまり、ファイルの大部分は平文ですw

 これを、再生直前に復号化して、再生が終わったら再び暗号化して再生できないようにする、という方法で暗号化しています。たぶんライブラリがメモリ上に展開されたmp3ファイルの再生に対応していなくて、その仕様と妥協しあった結果、でしょうか?

BGM差し替え

 .mp3ファイルや.midファイルをこのソフトにドラッグアンドドロップすることで暗号化することもできます!このソフトで暗号化したファイルを、元のBGMのファイルと入れ替えることでBGMの差し替えを行うことができます。

 ただしファイルフォーマットのチェックがシビアなのか、にこさうんど#等、ネット上から拾ってきたmp3はそのままでは再生に失敗することも多いので、一度wavに戻してからlame等で再エンコードして使うのを推奨します。

 さらに、この方法ではステージがmidiのステージはmidiのファイルで、mp3のステージはmp3ででしか差し替えることができません。プログラムを書き換えれば可能で、一応そのための改造パッチも作ってあります。もう少しテストした上で公開できそうなら公開する予定ですが、いつになるやら。