この形式の匿名関数はラムダ式(lambda expression)と呼ばれます。これは、関数ベースの計算モデルの基盤となる数学の一分野から名付けられています。ギリシャ文字のラムダ(λ)が選ばれていることに特別な意味はありません。これは、1930年代の印刷技術の限界による偶然の結果です。ラムダ計算の発明者であるアロンゾ・チャーチ(Alonzo Church)は、もともと別の表記法を望んでいました。
しかし、彼がこの研究テーマについて最初の論文を出版した際、写植機のオペレータは写植機で出力可能なチャーチの記法に最も近いものとして「λ」を選びました。このような不運な始まりにもかかわらず、この任意に選ばれた用語は広く使われるようになりました。LISPという初期に開発され大きな影響力を持っていたプログラミング言語では、ラムダという名前を関数を表す式に使いました。それ以来、C#を含む多くの言語がそれにならってきました。
(プログラミングC# 第8版 / Ian Griffiths 著、木下 哲也 訳)